2024年、小学生YouTuberとして人気を集めるたろうさんが「中学校には通わない」と宣言したことが、大きな話題を呼びました。小学生という若さで、すでにゲーム実況チャンネルを通じて多くのファンを持ち、プロのeスポーツ選手も目指しているという彼の決断は、賞賛と疑問、そして批判の声を同時に呼んでいます。
この記事では、たろうさんの決断に対する世間の反応、本人および家族の考え方、そして教育や子どもたちの将来のあり方について深く掘り下げていきます。
なぜ中学校に行かないのか？理由や背景
youtuber tarou
たろうさんは自身のYouTubeチャンネルやX（旧Twitter）で「中学校には通わない」と明言しました。その理由は非常に明確です。
「フォートナイト競技、YouTubeに本気で取り組みつつ、睡眠、運動、学習の時間を確保した生活を実現するためです」
つまり、学校に通うことによって生じる時間的・精神的な負担が、彼の夢であるYouTube活動やeスポーツ競技への取り組みに支障をきたすという判断からの決断でした。
この選択は突発的なものではなく、1年間かけて親子と学校が話し合いを重ねた末に導き出されたものです。そのプロセスからも、たろうさんが思いつきで「行きたくない」と言っているわけではなく、将来の目標に向けて非常に戦略的な考え方を持っていることがうかがえます。
保護者の考えやサポート体制
たろうさんの父親は、今回の「中学校に通わない」決断を全面的に支持しています。インタビューでは次のように語っています。
「やりたいことが本当にあるんだったらやったほうが良い」
その言葉通り、彼は息子の意志を尊重し、サポートする体制を整えているのです。
また、中学校には籍を置いた上で、出席しないながらも卒業資格は取得できるように努力するとしています。いわゆる「ホームスクーリング」的な形態で、基礎学力の維持も視野に入れており、家庭内での学習サポート体制も整えているとのことです。
特筆すべきは、父親自身が「義務教育の形式」に対して柔軟な視点を持っている点です。現代社会においては、従来の一律的な教育モデルだけが唯一の正解ではない、という考え方が少しずつ広がってきています。たろうさん一家の方針は、その最前線にあるともいえるでしょう。
学業や将来への影響
当然ながら「学校に通わない」という決断に対して最も多く寄せられた懸念は、「学力が身につかないのでは？」「将来進学が難しくなるのでは？」というものです。
これに対して父親は、「勉強は家庭でやればいい。受験に必要な学力を身につけるには、1日2時間以内で十分だ」とコメントしています。むしろ、学校に通うことで生じる通学時間や拘束時間が、学習効率を下げているという考え方です。
さらに、「大学に行くことを前提にする必要はないが、本人が行きたいと思ったときに選択肢を持てるようにしておく」とも語っています。つまり、現時点で大学進学は最優先ではないものの、将来的に望んだ場合に困らないように学習の基礎は確保する、という柔軟なスタンスです。
教育とは「知識を詰め込む場」ではなく、「学ぶ姿勢を育てる場」である、という価値観のもと、家庭内での主体的な学びを重視しているといえるでしょう。
YouTuberとしての活動との両立
たろうさんは、YouTuberとしての活動に本気で取り組んでいます。フォートナイトの実況動画を中心に配信を行い、視聴者からの支持も集めています。
この活動を本格的に継続・発展させるには、相当な時間とエネルギーが必要です。加えて、eスポーツ選手として競技シーンに本格参入するには、並外れた練習量と集中力が求められます。そういった環境において、通常の学校生活が持つスケジュールとの両立は難しいと考えたのは、ごく自然な流れでしょう。
たろうさんの父親は、子どもが本気で何かに取り組む姿勢を尊重し、「一度きりの子ども時代」を全力で応援する立場をとっています。
一方で、YouTuberとしての活動は、時に過度なプレッシャーやネット上での中傷を受けるリスクもあります。その点については、家族がしっかりとサポートし、精神面のフォローにも力を入れているようです。
法的・制度的な問題
日本の教育制度では、小学校・中学校の義務教育は法律で定められています。では、「中学校に行かない」という選択は法的に問題ないのでしょうか？
実際には、たろうさんのように「中学校には籍を置いたまま出席しない」というケースは、いわゆる「不登校」に分類されます。ただし、それが本人と保護者の合意に基づき、かつ学校や教育委員会と協議を行っている場合、必ずしも違法ではありません。
たろうさんの場合も、1年間かけて学校と話し合いを重ねてきたことから、形式的な不登校ではあっても、家庭教育という形で義務教育を果たしていると見なされる可能性が高いです。
また、近年はフリースクールやオンラインスクールなど、多様な教育の受け皿も増えています。今後、より柔軟な教育制度が整備されていく中で、たろうさんのような子どもが「例外」ではなく「先駆者」として捉えられるようになるかもしれません。
たろうさん自身のメンタルや人間関係
「学校に行かない」ことによって失われるものの一つが、同年代との日常的な関わりです。これは学力以上に重要だと考える人も多くいます。
現時点で、たろうさん自身のメンタルや対人関係についての具体的なコメントは見つかっていませんが、SNSやYouTube上での発信からは、明るく前向きな印象を受けます。
また、eスポーツやYouTubeという分野は、オンライン上での仲間や競争相手とのつながりが非常に強いため、たろうさんは「リアルな教室」以外の場所で、すでに社会性を身につけているとも考えられます。
さらに、家族が彼の活動を応援し、精神面でも寄り添っていることが、安心感につながっているのでしょう。
社会の声と、子どもたちの未来
たろうさんの決断に対して、ネット上では称賛と心配の両方の声が上がっています。
「すごい行動力」「好きなことに真剣に向き合っていて応援したくなる」といったポジティブな意見も多く見られる一方で、「義務教育を軽視しているのでは」「失敗したときにどうするのか」という懸念も根強くあります。
しかし、それらの反応が示しているのは、結局「これまでの当たり前」に対する揺らぎです。子どもが学校に行かない、生き方を自分で選ぶ、というのはまだ一般的とは言いがたいものの、そうした動きがこれからの教育や社会のあり方に新しい風を吹き込む可能性を秘めています。
おわりに
たろうさんの「中学校通わない宣言」は、単なる不登校でもなければ、思いつきの反抗でもありません。彼の中には明確な目標があり、それを支える家族の理解と覚悟があります。
社会全体が、このような多様な選択肢を受け入れ、応援するようになることが、次の時代の教育のかたちを決めていくでしょう。そして、子どもたちがそれぞれの夢に正面から向き合える環境をつくることこそが、私たち大人の役割なのではないでしょうか。
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